税理士法人 吉田会計事務所

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2020/4月10日 居住者賃貸建物を取得等した場合の仕入れ税額控除

 不動産投資を行っているクライアント様もいらっしゃると思われますが、令和2年度税制改正において、原則として居住者用賃貸建物の取得等に係る仕入税額控除が認められないこととされました。以前の自販機スキームのように消費税の還付手段として、近年では金の売買を繰り返し行うことによる還付スキームが租税回避行為として問題視されており、意図的に課税売上高を作り出すことによる還付スキームを封じ込めるためです。また、居住者用賃貸建物を取得し、その後に売却する買取再販売事業を行っている事業者と課税当局の間で、居住者用賃貸建物に取得等に係る消費税につき、個別対応方式を適用する場合の用途区分についての争いも生じており、この点を明確にするためでもあります。

なお居住者用賃貸建物とは、住宅の貸付の用に供するための建物(その付属設備も含めます)で、高額特定資産(一の取引単位につき、課税仕入れに係る支払い対価の額が1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産)等に該当するものを言います。

1、改正の内容 

居住用賃貸建物の取得時には仕入税額控除は認められませんが、その後一定期間内に事業用貸付への単葉や譲渡をしたときに、その建物に係る課税売上高に応じて仕入税額控除を認めることとされました。

①居住用賃貸建物の取得時

住宅の貸付の用に供する部分は仕入税額控除の適用を受けることが出来ません。一方、住宅の貸付の用に供しない部分(事業所、テンポトプの事業の用に供する部分)は仕入税額控除の適用を受けることが出来ます。この場合、例えば住宅用と住宅用以外の部分が存在する一棟の建物を取得した場合には、面積按分により住宅用以外の部分の消費税額を計算する方法が考えられます。


②一定期間内に転用又は譲渡した場合

居住用賃貸建物の取得から3年以内(取得日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間の末日まで)に住宅用以外の貸付として転用した場合や建物を譲渡した場合には、取得時に上記①により仕入税額控除の適用を受けなかった部分の金額のうち、課税賃貸割合または課税譲渡等割合により計算した金額について仕入税額控除の適用を受けることが出来ます。

計算例① 転用した場合
【取得に係る消費税:300万円、住宅家賃:50万円、事務所家賃:150万円】
300万円×150万円/(50万円+150万円)=225万円

計算例② 譲渡した場合
(取得に係る消費税:300万円、住宅家賃:155万円、事務所家賃:145万円、譲渡対価:2,800万円)
300万円×(145万円+2,800万円)/(145万円+155万円+2,800万円)=285万円

2、適用時期

令和2年10月1日以後に取得等した居住用賃貸建物について適用されます。ただし、令和2年3月31日までに締結した契約に基づくものは適用されません。令和2年9月30日までに取得等した場合や、令和2年3月31日までに契約し、10月1日以後に取得等した場合には従前どおりの取り扱いにより、税額控除を行うことになります。

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